不動産購入の諸費用について
10月も最後となり、今年も残すところ2ヶ月となりました。 今回は不動産を購入した際の諸費用について書きます。 一戸建てやマンションの広告をよくみかけますが、実際に購入する場合、 購入価格以外にさまざまな費用がかかります。 大きく①税金と②手数料等に区分することができます。 さらに【取得時】と【所有時】に分けます。 【取得時】 税金 ・不動産取得税⇒都道府県税 ・登録免許税(登記の際必要)⇒国税 ※固定資産税評価額により計算 ※新築建物は認定価格により計算 ・印紙税 (売買契約書、金銭消費貸借契約書に必要)⇒国税 ・建物・仲介の消費税⇒国税 ・固定資産税(清算金)⇒市町村税※23区は都 ・都市計画税(清算金)⇒市町村税※23区は都 手数料等 ・仲介手数料(不動産会社) ※仲介業者ありの場合 ・融資事務手数料(金融機関) ・保証料(金融機関) ・土地家屋調査士手数料※新築等 ・司法書士手数料 ・火災保険料、地震保険料 ・団体信用生命保険料 ・管理費・修繕積立金の清算金※中古マンション等 ・引越し費用 ・家具、電化製品等の購入費 【所有時】 税金 ・
特例有限会社について
会社の看板等に「有限会社〇〇」「(有)〇〇」という文字をみかけたことがある方は 多いのではないでしょうか。 しかし、新たに「有限会社」という会社を設立している会社はみなくなりました。 ではなぜ、新たに設立できなくなったのでしょうか。 それは、今から約10年前の平成18年5月1日に「会社法」が新たにスタートしたからです。 そして、今まで存在した有限会社法が廃止されました。 しかし、有限会社が今までの地位を存続するために、同時に以下の法律が制定されました。 「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(以下整備法」)です。 この法律により施行前に設立された有限会社は、会社法上は「株式会社」として 存続し(整備法2条1項)、「有限会社」と称することになりました(整備法3条1項)。 そしてこの会社のことを「特例有限会社」と呼びます(整備法3条1項)。 特例有限会社は約166万社ありますが、新たに設立できなくなりその数は年々減少しています。 特例有限会社の特徴としては以下のものがあります。 ・取締役会、会計参与、監査役会、会計監査人または各委員会を設
定款の認証について
株式会社を設立する際には、必ず定款を作成しなければなりません(会社法26条)。 しかし、この定款は公証人の認証をうけなければ効力を生じません(同法30条)。 ※合同会社は不要。 ※設立する本店所在地を管轄する法務局所属の公証人が行わなければなりません (公証人法62条の2)。 例えば、山口市で会社を設立する場合、山口公証人役場 (山口市黄金町3-5)で行います。 認証には、①書面と②電磁的記録 の2種類の方法があります。 ①の場合、定款の原本を3通作成します。 ※役場保管用、法人保管用、登記申請用 ※このうち1通に4万円の収入印紙が必要になります。 ※他に、公証人手数料5万円(公証人手数料令35条)と謄本代1枚 につき250円が必要になります。 ②の場合、公証人については同じです。 大きな違いは、4万円の収入印紙が不要となる点です。 しかし、保存にかかる手数料300円と謄本1通につき書面による同一の情報の提供 を請求した場合は700円と紙数に応じた金額が追加で必要になります。 また、カードリーダーやワード等で作成した定款をPDF変換ソフト等の準備
家族信託について
「信託」とは信託法第2条第1項に以下のとおり規定されています。 この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、 特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。) に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために 必要な行為をすべきものとすることをいう。 例えば、Aさんがお子様(Bさん)にAさんの財産を信託したとします。 この際、Aさん名義の不動産(甲土地)はBさん名義に移転します。 移転後は、Bさんが甲土地に関する契約等の管理をします。 但し、名義は移っても、Bさんの財産になるわけではありません。 あくまで「信託財産」として、Bさんの「固有財産」とは区別され管理されます。 そして、Bさんが管理して得た収益を受取る人(Cさん)がいます。 CさんはAさんの配偶者でも、Aさん自身でも可能です。 つまり、A=Cとすることもできます。 ※A=委託者 B=受託者 C=受益者 財産の管理制度には、信託の他、代理、委任、成年後見等もあります。 それぞれの制度を知って頂くことで選択肢も増えてきます。 先ず
建設業について
建設業法には、以下のとおり目的が規定されています。 第1条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等 を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、 建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 「建設業」については、第2条第1項に以下のとおり定義されています。 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、 建設工事の完成を請け負う営業をいう。 つまり、住宅の売買等は「請負」に該当しないため、「建設業」には該当しません。 建設工事の種類は全部で 29種類 あります。 大きく 2種類の一式工事 と 27種類の専門工事に区分されます。 ※平成28年6月1日に新たに「解体工事業」が追加されました。 建設工事をする際、必ずしも許可がなければ仕事が出来ないわけではありません。 例えば、1件の請負代金が500万円未満(消費税込)の場合等があります。 ※参考:建設業法施工令第1条の2 また、許可には国土交通大臣と都道府県知事があり
高齢者世帯について
「国民生活基礎調査」(厚生労働省HPより)によると、平成27年6月4日現在における 全国の世帯総数は5036万1千世帯だそうです。 世帯構造は以下の順になっています。 ①夫婦と未婚の子のみの世帯が1482万世帯(全世帯の29.4%) ②単独世帯 1351万7千世帯(同26.8%) ③夫婦のみの世帯1187万2千世帯(同23.6%) 世帯類型をみると、 高齢者世帯は平成27年には、1271万4千世帯(全世帯の25.2%)で平成元年の 305万7千世帯(同7.8%)から世帯数では4倍以上増加しています。 65歳以上の方は3465万8千人います。 65歳以上の方の家族形態をみると 平成元年 平成27年 単独世帯 11.2% 18.% ⇗ 夫婦のみ世帯 25.5% 38.9% ⇗ 子と同居世帯 60.0% 39.0% ⇘ となっております。 つまり、高齢者の方は単独又は夫婦のみで生活されている方が増加 しています。当所では、財産管理等の面でサポートしていきます。 お気軽にお問い合わせ下さい。 今回は
地震保険について
「地震保険に関する法律」に以下のとおり目的が規定されています。 第1条 この法律は、保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険することにより、 地震保険の普及を図り、もつて地震等による被災者の生活の安定に寄与する ことを目的とする。 同法は、1964年の新潟地震を契機に1966年に施行されました。 今年で50年です。 地震保険は、損害保険会社のみならず、政府も再保険を引き受ける制度です。 この保険には、公共性の高さから「利潤」が含まれていません。 ※地震保険のみの加入はできません。火災保険に付帯するものであるため。 ⇒火災保険とセットで契約することになります。 そして、迅速に損害調査を実施するため、主要構造部に着目し、以下の3区分 で保険金額が支払われます。 「全額(保険金額の100%)」 「半損(保険金額の50%)」 「一部損(保険金額の5%)」 ※2017年1月から4区分に細分化される予定です。 「全額(保険金額の100%)」 「大半損(保険金額の60%)」 「小半損(保険金額の30%)」 「一部損(保険金額の5%)」 地震保険の保険料と補償
所得控除について
10月も中旬になり、朝晩寒くなってきましたが体調を崩されていないでしょうか。 これからさらに寒くなります。お体に気をつけてお過ごしください 。 さて、今回は「所得控除」について書きます。 所得控除は、大きく「物的控除」と「人的控除」に区分できます。 全部で14種類あります。 「物的控除」には以下のものがあります。 ①雑損控除 ②医療費控除 ③社会保険料控除 ④小規模企業共済等掛金控除 ⑤生命保険料控除 ⑥地震保険料控除 ⑦寄付金控除 「人的控除」には以下のものがあります。 ①障害者控除 ②寡婦・寡夫控除 ③勤労学生控除 ④配偶者控除 ⑤配偶者特別控除 ⑥扶養控除 ⑦基礎控除 所得控除の順番としては、 「雑損控除」を先にし、他は同順位です。 途中ですが、今回はここまでです。
建物譲渡特約付借地権
「建物譲渡特約付借地権」は借地借家法24条に規定されています。 特徴としては以下の通りです。 ①30年以上経過した時点で建物を相当の対価で地主に譲渡することを 定める。口頭でも可。※通常は書面に残すことが望ましいかと。 ②利用目的の用途制限なし この規定は、以前投稿した 「普通借地権」「一般定期借地権」「事業用借地権」 で存続期間30年以上の借地権に対し付加できます。 借りている方は、将来、建物の解体費用がなくなります。 地主の方は、そのまま入居者の家賃収入が見込まれます。 しかし、建物は30年以上であり修繕等に多額の費用がかかる可能性 もあります。利用される場合は、法律の専門家だけでなくFPや税理士等 専門家とご相談されるのも良いかと思います。 今回は以上です。 では次回まで。
事業用借地権
今回は、「事業用借地権」について書きます。 こちらは、借地借家法23条に規定されています。 契約の方法しては、以下の3つの特約がされた借地権のことです。 ①存続期間10年以上50年未満 ②契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長なし ③建物の買取り請求をしない ※存続期間については、正確には次のように分かれています。 借地借家法23条1項 ⇒ 30年以上50年未満 借地借家法23条2項 ⇒ 10年以上30年未満 この契約は公正証書の書面で行わなければなりません。 これは、当事者間のトラブルにならないようしっかり意思を確認 する必要があるため公証人が関与し。 また、利用目的としては、<事業用の所有に限られる>という点に注意が必要です。 つまり、居住の用として契約はできないのが特徴です。 「事業用借地権」については、平成4年8月1日の施行当初、 存続期間が10年以上20年以下でした。 しかし、平成20年1月1日の改正で50年未満に延長されました。 「一般定期借地権」と比較すると存続期間も短く、事業用であること等がございます。 活用をご検討